「ユーザビリティはSEOに影響する」ということを知っていると、Webサイトのフォントサイズが気になるかもしれません。「このサイズで問題ないだろうか?」と考えたことはないでしょうか。
フォントサイズとSEOの関係について、Googleの資料を引用しつつ、私の考えをお話しします。
フォントサイズはSEOに影響する
結論から言えば、フォントサイズはSEOに影響しうる、というのが私の見解です。
理由1:ユーザーフレンドリーだから
読みやすい大きさのフォントなら、ユーザーは記事を読み進めやすいでしょう。反対に、フォントが大きすぎたり小さすぎたりする場合、ユーザーは読みにくく感じてページから離脱してしまいます。
そのような記事を、Googleが高く評価することはありえそうでしょうか?
Googleが検索結果の上位に表示させるのは「有用で信頼性の高い、ユーザー第一のコンテンツ」です。検索結果の上位に記事を表示させたいなら、ユーザーにとって読みやすいフォントサイズを設定する必要があると考えられます。
理由2:小さすぎるテキストは警告を受けていたから
2023年までは、サイト内のフォントサイズが適切かどうかをサーチコンソールで確認することができました。「モバイル ユーザビリティ」という項目です。
フォントサイズが小さすぎる場合、「テキストが小さすぎて読めません」という問題が検出されました。そのうえで、「良好なページエクスペリエンスが実現されません」との警告が表示されていたのです。
かつてGoogleは、モバイル ユーザビリティを「すべてのサイト所有者にとって優先順位の高い重要な要素」と表現していました。つまり、フォントサイズが適切であることは、検索順位の決定にある程度影響していたと考えられるでしょう。
モバイル ユーザビリティの項目をサーチコンソールから削除するにあたっても、Googleはこのように説明しています(太字筆者)。
Google 検索でのランキングを上げるうえでモバイル ユーザビリティが重要でないから提供を終了するわけではありません。モバイル ユーザビリティは、かつてないほど頻繁にモバイル デバイスを利用しているユーザーにとって重要なことです。
そして、モバイル ユーザビリティなどの要素が検索順位に及ぼす影響については、このように(太字筆者)。
これらのシグナルのすべてがランキングに直接使用されるとは限りませんが、検索ランキングの順位が高いページはページ エクスペリエンスに関するこれらの要素も優れているため、注目に値すると考えています。
Googleによる上記の説明を考慮すると、フォントサイズのSEOに及ぼす影響は、以前より小さくなっていそうです。しかし、あまりにも読みにくいサイズであれば、検索順位が低下する可能性は十分に考えられるでしょう。
SEO的な推奨フォントサイズは「12px以上」
SEO的に問題ないフォントサイズは「12px以上」だと考えられます。Googleが提供するブラウザツール「PageSpeed Insights」では、フォントサイズについてこのように説明されるためです(太字筆者)。
12 px より小さいフォントサイズは小さすぎて判読できず、モバイル ユーザーには「ピンチしてズーム」の操作が必要になります。60% を超えるページテキストでフォント サイズが 12 px 以上になるようにしてください。
「12px以上」と明記されているわけですから、少なくとも12pxの大きさがあれば問題なさそうです。
なお、「Googleは16pxのフォントサイズを推奨している」という言説が非常に多く見られます。英語でも検索してみたのですが、Googleによるそのような見解を見つけることができませんでした。
Google Chromeの初期設定だと、PCでもモバイルでもフォントサイズが16pxであることが関係しているのかもしれません。ソースをご存知の方は教えてください。
以上を簡単にまとめると、一般的なブラウザでは16pxのフォントサイズがデフォルトなので、「SEO的に大丈夫かな?」と心配する必要はないはずです。注釈などを小さく表示したい場合、フォントサイズ指定は12px以上をおすすめします。
h2のほうがフォントサイズが大きいのはSEO的にどうなのか
hタグを使った見出しのフォントサイズについて、「h2がh1より大きくてもSEO的に大丈夫なの?」と気になる方もいるようです。
検索順位に直接は影響しないだろう、と私は考えています。h2をh1より小さくしたから順位が下がってしまったという話は聞いたことがありません。
Googleはhタグおよびフォントサイズについてこのように言及しているので、紹介しておきます(太字筆者)。
Google は、ページ上でメインとなる大見出しや、見出し要素、その他の大きく目立つテキストなど、タイトルリンクを作成する際のさまざまなソースに注意を払います。複数の見出しのフォントサイズや目立ち具合が同じだと、Google のシステムに混乱が生じる可能性があります。大見出しは、ページ上の他のテキストと区別でき、ページで最も高い視認性を持つ見出しとして目を引くようにすることを検討してください(例: フォントを大きくする、タイトルのテキストをページで最初に目立つ <h1> 要素に配置する)。
「複数の見出しのフォントサイズが同じだと、システムに混乱が生じる」とありますね。しかし、この説明は、記事のタイトルを検出する文脈です。
記事タイトルを検出させる方法として「フォントを大きくする」と「<h1>要素に配置する」が並列されています。h1タグにタイトルを設定しているのであれば、フォントサイズがh2より小さくなったとしても、h2がタイトルになってしまう(SEO上の問題が生じる)ことはないでしょう。
しかし、「目立たせたいものを大きく表示する」のがデザインの原則であるはず。記事途中の見出し(h2)よりも、記事タイトル(h1)を大きくするのが自然ではないでしょうか?
ほとんどのWebサイトでは、h2よりh1が大きいはずです。SEO的にどうというよりも、「ユーザーにとって自然だから」という観点で、h2のフォントサイズはh1より小さいほうが適しているのではないでしょうか。